チャック・ブラウン at Billboard(2008-5)

Go Go Swing Your Game: Live at 9:30 Club Washington D.C.
 16日の土曜日は調布での落語会終了後ダッシュで六本木に移動してチャック・ブラウン&ソウルサーチャーズのライブに突入だ。
 強烈にうねる重いビートのドラム&パーカッションとぶっといベースが作り出すグルーヴに乗って、シンセやホーンがうなり、さらにチャック自身がときおりはさむ「チャッカポッコチャッカポッコ」というギターのカッティング――彼らのサウンドを一言(じゃないけど)で言えばそういうこと。そしてチャックのダミ声ヘタウマボーカルがこれまたたまらん味となっている。
 1月20日日記にも書いたけど、GO-GOはワシントンDCの特産品。DCの知事がそのまんま東なら、真っ先に売り込んでるだろう。とにかくよく跳ねるリズム(パーカッション必須)にのせて延々とノンストップで演奏が続くのが最大の特徴だ。そんなGO-GOシーンを最初期から支えているのがチャック・ブラウン。トラブルファンクやEUといった人気GO-GOバンドたちの大先輩にあたる。
 チャックはもう70歳を越えているというがステージでは大熱演で、約1時間20分を一気に突っ走った。
 出だしは暴走族も大喜びの「ゴッドファーザー・愛のテーマ」。そう、スタンダードやジャズ、ポップ等のよく知られたメロディをなんでもGO-GOビートで処理しちゃう、というのもGO-GO、特にチャックの手法なのだ。続いては彼のライブでは定番中の定番、デューク・エリントンのナンバーを改題した「It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Go-Go Swing」。DCの音楽を代表する大先輩デュークのナンバーだけに、これは必ず演奏される*1ジョージ・ベンソンでもおなじみの「Moody's Mood」や、やはり定番の「Woody Woodpecker」のリフを経て「We Need Money」キター! 1986年頃にIslandレコードがGO-GOをブレイクさせようとして制作した映画『Good To Go』のサントラにも収録されていた大ヒット曲。一緒に大声で「マスタカード、ビザ、アメリケンエクスプレス!」と怒鳴ったね。で、この曲を演奏中にチャック、ピック落として慌ててるし(笑)。さらにさらになんとブルースのスタンダード「Hoochie Coochie Man」。そういえば以前チャックは「Stormy Monday」もやってたなぁ。
 ここまで45分間まったく止まることなく一気! ドラムはEUで大活躍していたJUJU・ハウスなんだけど、疲れるそぶりも見せず叩きまくりだった。あの筋肉を見れば納得だけどね。
 その後はキーボードの女性*2によるボーカルが2曲披露され、またなんのためにステージ上にいるのかよくわからんかったもうひとりの女性の誕生日を祝う曲が演奏された。ちなみに彼女はチャックの娘らしいのだが、緑のトートバッグを肩からかけてステージのうえをブラブラ歩くだけでほとんどなんにもしない。時々リズムに合わせて身体を揺らしていたが、全然ノっていないというかリズム感悪そうな感じ。渋谷センター街でも歩いているほうが良く似合うねーちゃんだった。
 それはともかくステージはどんどん進み、皆さんお待ちかねの「Bustin' Loose」で盛り上がって一旦終了。全員舞台から降りないままアンコールに入り、やはり待ってました! の「Harlem Nocturne」へ。最後は「ツァラツストラはかく語りき」(『2001年宇宙の旅』のテーマといったほうがわかりやすいか)でエンディングとなった。
 吉岡正晴氏のブログ、ソウル・サーチンによれば翌日(17日)のステージでは「Bustin' Loose」はアンコール時に演奏されたらしく、ところどころ曲順なども変わっていたようだ。またBillboardのスタッフから演奏が長くなりすぎないようにとの注意を受けたらしいが、それを読んでチャックの初来日を思い出した。1987年、芝浦インクスティックでのパフォーマンスは最高に盛り上がり、演奏が全然終わらない。チャック自身は(もういいよ)ってな表情だったけど、当時のドラム&パーカッションの若い二人が、客の求めに応じてプレイをやめないもんだから延々とライブは続き、さすがに0時近くなって係員が「まことに残念ですが、周囲は住宅地なので0時以降の演奏は禁止されているのです!」と叫ぶ始末。オレはチャック・ブラウンのことをほとんど知らないままにライブに行ったのだが、一発で叩きのめされて、その後の来日はほとんどフォローしてきた。90年代に入り、渋谷オンエアーでのライブもチケットを買ってワクワクしていたら来日中止の知らせ。なんでも母親の容態が悪くなりアメリカを離れられなくなったとかいうインフォメーションが後で流れてきた。今回はそのとき以来ということになるので、約15年ぶり。いやー、待った甲斐があったね。もうそろそろ体力的にはキビシー年齢だろうけど、これからもガンガン来日して楽しませて欲しい!

追記:吉岡氏の調査によると、母親の病気による来日中止以降も2回来日していたようです。そのステージをオレは見ていませんでした。スイマセンでした。ただ、インクスティックとそのオンエアーの間に確か西麻布イエローで観た記憶があるんだよなぁ……曖昧朦朧再びスイマセン。

MEMBER:チャック・ブラウン/Chuck Brown(Vocals/Guitar) リトル・ベニー・ハーレー/Little Banny Harley(Vocals/Trumpet) ウィリアム“ジュジュ”ハウス/William“JuJu”House(Drums) ダグ・クラウリー/Doug Crowley(Bass) チェリー・ミッチェル/Cherie Mitchel(Keyboards) ブライアン・ミルズ/Bryan Mills(Saxophone) ブラッド・クレメンツ/Brad Clements(Trumpet) マーク・ウィリアムス/Mark Williams(Trombone) モーリス・ハガンス/Maurice Hagans(Percussions) KK・ドネルソン/KK Donelson(Vocals)(←このKKってのがチャックの娘だね)。以上Billboardのサイトからコピペ。

人気ブログランキングへ

*1:チャックはもちろん「A列車で行こう」も演っている

*2:彼女は現在ナイル・ロジャース率いるCICHのメンバー