らくだ

hatake-19612008-02-16

 昨夜は町田市民ホールへ立川談春独演会を聞きに行った。最近は地元調布のソウルバー、FAME GANGにて開催される「落語会」にチョコチョコ顔をだしているので若手(二つ目)の落語に接する機会は多いのだが、真打の噺を聞くのは久しぶりということになる。
 談春とはもう15年ほど前、それこそ彼がまだ二つ目だった時代にTBSの深夜番組絡みで知己を得て、真打披露パーティなどにも呼んでもらい、ときおりは独演会なども聞きに行っていた。ただここ数年御無沙汰が続いてしまっていて、昨夜は友人に誘われて久しぶりの談春
「野ざらし」「らくだ」と大ネタ2連発で会場は大喜び。
「野ざらし」は全編やればかなり長い噺で、しかもオチがわかりにくいという難があるが、今回はお調子者の八五郎向島で釣り客に迷惑をかけて大騒ぎするところでサゲにしてしまった。ちょっと唐突すぎる感もあるが、八五郎のはしゃぎっぷりの描写は爆笑を誘う。願わくば冒頭に登場する八五郎の隣人の侍(尾形清十郎)の落ち着き振りをもう少しじっくり描いて欲しかった。
「らくだ」はもうみなさん御存知の噺で、これまた最後の火屋の段まで演じたらえらい長い。談春はクズ屋とヤクザ者の兄貴分との立場が徐々に逆転していくあたりをタップリと演って会場を大笑いさせたところでスッと退いた。尺としてはピッタリだったけどもうちょっと聞きたかったなぁという気分も残る。むろん、それくらいのほうがよいということでもあるのだが。
 談春の持ち味のひとつは女を演じたときの色っぽさだと思うが、今回、はしゃぐバカ男や泥酔していくクズ屋など、アクションも大きく爆笑を誘うネタも楽しませてもらった。あとは年齢を重ねて御隠居や老侍などに渋味が加わっていくことを、ほぼ同世代のファンとして期待したい。
立川談春“20年目の収穫祭” 立川談春/来年3月15日
 最後に会場でちょっと気になったことを。数年前から思っていたのだが、噺の途中に拍手をやたらと鳴らすのはやめていただきたい。噺にはリズムやテムポがあるから、噺家は拍手をもらってもいちいち鳴り止むまで噺を止めたりしない。だからその間の言葉がとても聞き取りにくくなってしまうのだ。例えば長い長いセリフや地名の羅列などを一気にまくし立てたときなどは思わず拍手したくなるのはわかる。でもなんでもかんでもやたらとパチパチ鳴らせばいいってもんじゃないだろ。昨日はまくらのあとに「らくだを演ります」と言ったとたんに大喜びで拍手したおばはんがいたが、そういうヤボなこと、すんなよ、かっこ悪い!
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