うめ版―新明解国語辞典×梅佳代
いまやと言うかもはやというか、とにかくブームだよね。立て続けに出版される梅佳代の作品をAmazonで探すと2007年8月初頭現在、5つの商品がヒットする。
- 作者: 梅佳代
- 出版社/メーカー: リトル・モア
- 発売日: 2007/07/25
- メディア: ペーパーバック
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SWITCH Vol.25 No.8 (スイッチ2007年8月号) 特集:十代のいま、十代のころ新垣結衣(撮影=梅 佳代)
- 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
- 発売日: 2007/07/20
- メディア: 大型本
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- アーティスト: 根岸孝旨,中根大輔,井塚卓,吉崎聡,菊池直人,梅佳代,蝉時雨
- 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
- 発売日: 2007/06/27
- メディア: CD
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今年度の木村伊兵衛写真賞
今年の木村伊兵衛写真賞は本城直季『Small Planet』(写真集)と梅佳代『うめめ』(写真集)のふたりが受賞した。どちらもリトルモアからの出版である。
- 作者: 本城直季
- 出版社/メーカー: リトルモア
- 発売日: 2006/04/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 梅佳代
- 出版社/メーカー: リトルモア
- 発売日: 2006/09/04
- メディア: 単行本
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本城直季の作品は大判カメラのアオリという機構*1を駆使したテクニカルなもの。素人にはちょっと撮れないだろうなぁと感心させられる。
一方梅佳代のほうはテクニックとしては破綻している部分が多い。ピンボケやブレも多く、露出も不安定だ。これならオレでも撮れるぜ、と思わせてくれる(笑)。だが「そこにいてそれに出会うのも才能だ」ということからすれば、素晴らしい才能の持ち主だ。常にカメラを持ち歩いて日々物凄い数のシャッターを押しているのだろう。そしてその莫大な写真の中から作品として抽出する作業にこそ、彼女の本質があると思う。偶然性を必然性に変えてしまう力技、とでもいおうか。
ただし『うめめ』を見ていて、うわー、やだなーと思ったカットが2点あった。犬の脱糞と象の放尿。もちろんキレイなものを撮るだけが写真じゃないのはわかっている。ただし汚いもの、汚物を撮るときは相当の覚悟が要るんじゃないだろうか。さらに、あがってきたその汚物写真をあえて選ぶということは、かなりの確信がなければできないことだとも思う。しかし前後の流れからいってもオレにはこの2カットの必要性がわからなかった。この2カットで『うめめ』が好きじゃなくなった。
実はオレは新明解は持っていないのだが……
- 作者: 赤瀬川原平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/04/09
- メディア: 文庫
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で、忘れかけたころ、急に話題の梅佳代と新明解の合体*3だという。さっそく本屋で手にとってパラパラと立ち読み。「思いのたけ」という項目までたどりついてあわてて本を閉じ、これは購入してゆっくり読もうと思ったのだ。
要するにちょっと首を傾げたくなるような記述が多い『新明解国語辞典』のいくつかの項目と梅佳代の写真を組み合わせたものなのだが、これがめっぽうおもしろい。まず写真を見て笑い、項目タイトルを見てから写真を見てまた笑い、項目の内容を読んでからまた写真を見て笑う。こりゃもう言葉で説明するより、実際に見てもらうしかないのだが、「生一本」「器用」「存在感」「辛抱」「人間」、さらに先ほどの「思いのたけ」などがオレのお気に入り。
とにかく企画の勝利だ。新明解を笑うことは一時流行ったが、その笑われている辞書を出版している三省堂自らが開き直ったかのようにこんな本を出す、そのこともまた笑いを誘う。膨大な梅佳代の写真を見ながら、項目に当てはめていったのだろうが、その編集作業はとても楽しかっただろうなぁと想像させてくれる。息抜きには最高の一冊。
- 作者: 新明解国語辞典,梅佳代
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 150回
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