『FREE』マーカス・ミラー

 マーカス・ミラーってオレとあんまり年かわらないんだよね(ちょい上)。彼の名前はマイルス・デイビス復活の『The Man With The Horn』で始めて知ったけど、そのときまだ20歳前後の若さ(オレは浪人してたよ、そのころ)。ジャズの世界では一気に有名人になり、その後ルーサー・バンドロスとのコラボレーションで一躍ポップ界でも名を馳せた。それからはマイルスやデビッド・サンボーンなどのプロデュース活動を活発に行なっていたが、ベーシストとしてもジャマイカボーイズ等で活動していたわけで、最近でも2002年に2枚組の力作ライブ盤を出したり、2005年にエリック・クラプトン参加のアルバムをリリースと、もうすぐ50代(!)だけどバリバリやってる。いいぞっ、同世代!

FREE / Marcus Miller

フリー(初回限定盤)(DVD付)

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 とゆーことで新譜のサンプル盤が送られてきたので早速聞いてみた。
 スタンリー・クラークジャコ・パストリアスといった超がつくビッグネームは別として、ベーシストのソロアルバムって、やっぱり大ヒットさせるのは難しいと思う(最近ではビクター・ウッテンがちょいと話題になったけど大ヒットというには?だった)。当然マーカスだって超ビッグなわけで、過去に大ヒット作もあるが、今回の作品はちょっと余裕かまして楽しんだっていう感じ。全編ブリブリっとベースは鳴り響いているけどね。
 1曲目でいきなりエレクトリック・シタール(?……おそらくシンセ)とからむイントロからマーカスのソロ全開。続く2曲目はブリッジのところがいかにも往年のフュージョンっぽくて懐かしい。
 3曲目のアルバムタイトルとなっている「FREE」は、デニース・ウイリアムスによる名曲(1976年)のカバー。奇をてらわず、原曲のイメージに忠実なアレンジで、昨年英国でデビューしたコリーヌ・ベイリー・レイというシンガーがボーカルを担当している。オレはあまり詳しく知らんが、昨年大ヒットした人。しかし、やっぱりあのデニースの高音の伸びと比べちゃうと、ちょっと見劣りするかな……まぁ歌のあい間のベースを聞けっていうことなんだろうけど。
 7曲目の出だしで鳴っているバスクラリネットはマーカス自身によるもの。8曲目はマイルスの曲、10曲目はスティービー・ワンダーの「ハイアー・グラウンド」。そしてこのアルバムの目玉はラストの「ホワット・イズ・ヒップ」だ。もちろんあのタワー・オブ・パワー(TOP)の名曲。つまりTOPの変態ベース、ロッコ・プレセティアのプレイを正統派のマーカスがやっちゃうということ。これ、面白いね。出だしからモコモコいうあのロッコ節がマーカス流に料理されてて、しかもほとんどずっとスラッピング。まぁテクニックは彼のほうが上でしょうから、超絶技巧がビシビシ披露される。さらに面白いのは途中でオルガンソロがフューチャーされるが、これがなんとチェスター・トンプソンなのだ。そう、TOPのオルガンプレイヤー。なんともにくい配剤です。
 メンバーは02年のライブ盤にも参加していたレイラ・ハサウェイ(vo)に、ポール・ジャクソンJr.(g)、バーナード・ライト(key 懐かしい名前!)などと、ゲストでサンボーン(as)、トム・スコット(ts)他。

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コリーヌ・ベイリー・レイ

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