黒田の1球

 広島東洋カープ横浜ベイスターズ10回戦。スカパーをつけたらちょうど試合開始の直前で、広島・黒田博樹、横浜・三浦大輔の両エースの先発だ。おぉ、こりゃ面白い試合になりそうだと本腰を入れて見始めた。
 1回表、横浜の先頭バッターは仁志敏久。いきなりポンポンと2ストライク1ボールとなり、ありゃぁ、やっぱり黒田相手じゃキビシーなぁと感じさせる立ち上がり。黒田はこの試合に勝てば通算100勝ということで気合も入っている様子だ。
 その後2球ボールが続きフルカウントからの6球目、かなりきわどい内角のコースを仁志が見送って四球となる。リプレイを見ても、うーむ、ストライクともボールともいえるようなギリギリのところ。オレにしてみれば「四球でラッキー! でも審判もキビシーなぁ」てな感じ。解説の達川光男も「これを取ってもらえないと今日の黒田は苦労しますよ」といっていた。
 そこから黒田の調子がおかしくなり始めた。続く石井琢朗にあっさりストレートの四球を与え、それから4連打を浴び、さらに併殺の間にも加点されて4失点。4連打といってもどれもシブいヒットばかりで会心の当たりは佐伯貴弘のレフト前くらい。横浜ファンのオレでさえ黒田、不運だなぁと思ったほどだ。
 試合結果は0-8で三浦の完封勝利。
 結局、仁志への6球目でこの日の勝負は決まってしまった。ここがストライクと判定されていたら、横浜の初回の4点はなかっただろうし、その後調子づいた黒田から大量点を奪うのは困難だっただろう。そうなると三浦も楽に投げるわけにいかず、完封もなかったかもしれない。もっともこの日の黒田の調子は元々悪かったのかもしれないが、それでもあの仁志への1球は大きかった。
 プロスポーツを見ていると、さっきまで調子良かった選手が急に崩れる、という場面によく出くわす。お互い高度な技術を駆使してギリギリのところで闘っているから、ほんのちょっとしたことがプレーにすぐ影響するわけだ。特に野球はメンタル面が大きく影響するので、たった1球で局面がガラっと変わったりする。今日の黒田の1球がそれを象徴している。
 やっぱり野球って面白いよなぁ。

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