息苦しい国、ニッポン

 オレは暴走族は大嫌いだ。爆音がうるさいとか、からまれるとめんどいとか、すぐ暴力に訴えるから怖いとか……まぁ最近はやりの言葉で言えばDQNってーことになるのかな、とにかくやつらははっきりいって鬱陶しい。できればいなくなって欲しいと思っている。
 しかし今日見た映像はビックリ!
 兵庫県の姫路で毎年この時期「姫路浴衣祭り」というものが開催されているらしい(オレは今日始めて知った)。その祭りに徒歩暴走族というのが出没してここ数年警察と大バトルを繰り広げているというのだ。今日(6月27日)の夕方、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」内“怒りの導火線”というコーナーでそのことが取り上げられていた。
 広島の胡祭りとか青森のねぶた祭りなどで毎年のように繰り広げられる、暴走族(というか、はねっかえりのにーちゃんたち)と警察の小競り合いは「警察24時間」みたいな番組の定番でもう見飽きたという感じだが、今日の報道にはちょっと驚かされた。
 若者が特攻服を着て街を徘徊しているだけで、警察がよってたかって取り囲み、抵抗するとボコボコにして服を無理やり脱がせていたのだ。
 確かに暴走族のチーム名などが入った特攻服という、他を威嚇するような服をそろいで着て集団でウロウロされたら、一般市民は威圧的に感じ、恐怖も感じるだろう。しかし今日の報道を見ると、特に一般市民に対してからんでいたようには見受けられない。仲間ウチ同士で勝手にケンカしていた、という程度だ。
 それを兵庫県警はのべ2200人もの人員を割いて、片っ端から排除してた。16歳の少年を5〜6人で取り囲んで「あほんだら! なにしとんじゃっ! はよ脱ぎさらせっ!」とヤクザな言葉をわめきながら引きずり回して服を剥ぎとる。どっちが警察かさっぱりわからなかった。
 そりゃね、爆音を撒き散らしながら公道を走り回る暴走族や、シャブやアンパン食って暴れまわるやつらなら、ドンドン取り締まってもらってかまわないよ。でもね、示威的な服を着て集団で歩くだけで取り締まられちゃかなわんだろ。そんなら真っ先に制服警官を取り締まれってーの。
 自分の着たい服を着て、自分の歩きたい時間に、自分の好きな場所を自分の意思で歩く。そのとき他人に迷惑をかける行為(例えば爆音暴走など)を行なえば当然、非難を受け排除される。しかし今日の彼らは基本的には祭りの高揚感に浮かれてフラフラと歩いていただけのようにしか見えない。それをどっちがヤクザだかわからんような罵声を浴びせ、強権を振りかざして排除する警察権力の姿を見て背中に薄ら寒いものが走った。
 姫路市には、特攻服のようなものを着て徘徊することを禁じる条例があるとも報じていた。兵庫県警の行為はそれに基づいてのものだという。しかし、その条例自体が物凄く危険なものではないか? はっきりって憲法違反だろ。ちょっと派手な刺繍が入った服も、着ちゃいかんのか? スカジャン着れないじゃん。自分が着たい服を着る自由もないのか、姫路市には。
 番組は現地からの映像を垂れ流すだけで、一般市民の「子供に見せたくない」といったインタビューや、ケンカしている現場のそばを子供が通って危なかったといったナレーションはあったが、暴走族、警察、双方の行為の是非についてスタジオのキャスターたちのコメントは一切なし。邪推するに「暴走族はいけませんね」というお決まりのセリフを言おうと思ったのだが、警察の行動のあまりの乱暴さにアゼンとしたのでは、とも思えてくる。
 画面を見ていて江戸時代前期、水野十郎左衛門のようなカブキ者が幕府から取り締まられたことを思い浮かべてしまった。でも現代の日本は封建社会ではないぞ。
 姫路に限らず、日本はドンドン息苦しい国になっていってるような気がする。
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