MIRACLE その2

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(前回より続く)
当時の日本はまさにバブルに浮かれていたころ。改装されたTEMPSもエントランスに高そうな赤い照明器具*1が設置され、ソファ席主体の高級感漂う店となっていった。しかしこれは辛かった。ひとりで飲む酒が好きな(というより相手がいない?)筆者としては、この造りは入りにくく、ついつい足が遠のいてしまった。その後バブル崩壊とともに狂乱の活況が下火になり、六本木はキャバクラだらけの猥雑な街へと変わっていく。渋谷HIP HOP、TEMPS下北沢店はすでに閉店し、1998年、ついに伝説の芋洗坂TEMPSも終了。同年7月から六本木交差点すぐそばのビル6Fで新たなスタートを切った。
この新生TEMPS*2は以前よりやや狭くなったが、カウンターがメインの造作で、川畑さんやその他のスタッフとも会話しやすく、また隣に座った常連とも気軽に会話ができるようになった。その後開通した都営地下鉄大江戸線の出口のまん前ということもあり、筆者も六本木通いを再開して、DJイベントなどにもよく顔を出したものである。BRIOの連載が始まったのもこのころだ。ところが種々の事情によりこのTEMPSも2002年暮れに惜しまれつつ閉店する。閉店イベントのファイナルパーティは大盛況で「やめるなー!」などの怒声も飛び交っていた。
そして2003年4月、TEMPS(テンプテーションズ)から師匠格のMIRACLE(スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ)へと名を変え、赤坂で復活! 規模はやや小さくなったものの*3その分ますます居心地がよくなり、朝まで飲む機会も増えてしまった(笑)。これからもこの店を愛し続け、通い続ける人たちで店内は賑わい続けることだろう。

recommendation

Live in New Orleans

Live in New Orleans

川畑さんにいまさら「推薦するアーティストは?」と聞くのもナンだが、とにかく挙げてもらったのはMAZE。来日したミュージシャンが立ち寄ることでも有名なTEMPS〜MIRACLEなので、当然リーダーのフランキー・ビバリーを始め、メンバーも来店したことがある。さらにキーボードのフィリップ・ウーは現在日本に住んでおりときどき顔を出す、とゆーことで『LIVE IN NEW ORLEANS』。二枚組のレコードのA〜C面には「Joy And Pain」「Happy Feelin’s」等代表作の名演が並び、スタジオ録音のD面にはネタとしても知られるヒット曲「Before I Let Go」収録。ジャケットにはウーさんの勇姿も写っている。さらにもう一枚は防衛庁前の店の名前の由来となったインプレッションズ『LOVING POWER』。カーティス・メイフィールドが去ったあとのインプレッションズだが、リラックスムードの佳曲を連発していたころの作品。タイトル曲のねっとりとしたギターのイントロがなんともいえずエッチでよい。ジャケも妖艶。
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Indelible Impressions

Indelible Impressions

*1:筆者の仲間うちでは「とんがらし」と呼んでいた。

*2:店のスタッフや常連は古い店と新しい店を「芋洗」「交差点」、あるいは「4階」「6階」と呼んで区別していた。筆者は芋洗時代をさらに分けて「黒TEMPS」「赤TEMPS」と勝手に名づけていた。

*3:元ミニクラブだったという。現在DJブースがあるところはホステスさんのお着替えルームだったらしい。