MIRACLE その1

赤坂MIRACLE

前回までに北の老舗と南の御大を採りあげたので、やはりここで東京の大御所を紹介しないわけにはいくまい。赤坂の路地裏、あまり目立たない奥まったところで営業を開始し、この4月で丸4年をむかえたMIRACLE。全国のソウルファンやミュージシャンから愛され続けるこの店の歴史などを、筆者の少ない知識、経験をなんとか搾り出して綴っていこうと思う(長くなるので2回に分ける)。

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MIRACLEの歴史は1979年に六本木に開店したLOVING POWERから始まる。オーナーの川畑満男氏はそれ以前に四谷の店*1にいたこともあるが、改めて自分の店としてスタートさせたのがLOVING POWERなのだ。筆者がこの店に初めて足を踏み入れたのは、記憶がややあいまいだが83年か84年、このブログにたびたび登場するぐるなび男・Oに案内されてのこと。防衛庁*2正門前の雑居ビルを地下へ降りた左側で、右側はカラオケスナックだった。店内に入って印象的なのは、白い壁一面の永井博氏のイラスト。当時筆者も吸っていたSometimeというメンソールタバコの雑誌広告やポスターに使われていたのと同じタッチで黒人たちがくつろいでいる姿を描いたものだ。ちなみにJTがまだ日本専売公社だったころのお話。イラスト同様、客もリラックスできる店だった。そのころ筆者は京都在住の学生だったため、夏や春の長期休暇で東京に戻ってきてはチョコチョコと顔を出していた。ろくすっぽソウルの知識もない生意気な若造と対等に話をしてくれた川畑さんに感謝! 熱烈に勧めてもらったWhispers『LOVE FOR LOVE』やBobby Womack『The Poet』、今でも愛聴してます*3

Love for Love

Love for Love

Poet

Poet

1985年4月、川畑さんはLOVING POWERを撤収し、六本木交差点の反対側、アマンド脇の芋洗坂*4の中ほどにある第2レーヌビル*5の4FにTEMPSを開店。いよいよ伝説の始まりだ。店に入ると正面は一段高くなった半円形のDJブース、右はカウンター、左側はテーブル席という広い店内。黒を基調としたインテリアはクッションのきいたレザー素材*6。DJ MASAKO、DJ KIYOMIといった現在もバリバリに活躍する女性DJや、当時の六本木の現役ディスコDJたちが連夜スピンして店内を盛り上げ、週末は入りきれないほどの盛況になる。芸能人やミュージシャンも連日来店。さらに系列店として渋谷にHIP HOP、下北沢にTEMPS下北沢店がオープンし、80年代後半、ソウルファンはそれらの店をぐるぐる巡るのが日課だった。
そして90年代に入るころ、店内は赤を基調とした落ち着いた内装へと変わり、バーというよりもラウンジという雰囲気になる。(以下次回)
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*1:当時の文化放送の近所にあったライブという店。

*2:現在の東京ミッドタウン

*3:その後LOVINGだった場所はお好み焼き屋になり、さらに数年前にスパンキーゴールドというソウルバーになった

*4:まだ喫茶マイアミがあったころだ。

*5:地下はKENTO’S

*6:これはソウルバーの内装のひとつの基本となっていろんな店に影響を与えたと思う。