このジャケ似てない? オマージュ編 その2

久しぶりにこのシリーズいってみます。

 オレはこの世のすべてのミュージシャンの中で最も尊敬するというか、敬愛するというか、とにかくファンなのがソニー・ロリンズで、彼の正規発売盤はほぼ全部持ってるし、無人島の1枚は文句なしに『サキソフォン・コロッサス』で決まりなんだよね。とりあえず1955年ころからの数年間のアルバムはスンゲーいいから、どれ聞いても間違いはない。で、今回ご紹介はブルーノートからの『ソニー・ロリンズ Vol.2』。57年録音で、先輩格のJ.J.ジョンソン(tb)や、アート・ブレーキー(ds)、ホレス・シルバー(p)、さらにはセロニアス・モンク(p)との共演盤。J.J.はロリンズ初録音のとき(49年)にも一緒だったし、自身のリーダー作でもロリンズを起用した人。モンクは名盤『ブリリアント・コーナーズ』(56年)でロリンズを起用した人。いわば恩人たちに囲まれての録音というわけだ。さらに凄いのはモンクの名曲「ミステリオーソ」でホレス・シルバーとモンクの競演が聞かれるっちゅーこと。この毛色の違う二人のピアニストが入り乱れてピアノを弾く様は、想像するだにすんげーことだよね。まぁ、他にもロリンズがソロの出だしを間違えちゃってるんじゃないか、とかいろいろ聞きどころ満載のアルバムなのだ。
 ジャケットもかっこいいこと! テナーをかかえ、タバコをくわえたロリンズが闇に融けていく。これこそまさにCDじゃなくてLPのサイズで持っていたい1枚だ。(asin:B00000I41I←クリックでアルバム詳細へ)


 さて、そんなロリンズファンのオレが大学生だったころに、ある1枚のアルバムを見てブっとんだ。ジョー・ジャクソンの『ボディ・アンド・ソウル』。真似というかなんというか……パクりとかオマージュとか、まぁ有名アルバムのジャケをパロディ的に使うことはよくあることなんで、別にいいっちゃいいんだけど、オレは「そりゃねーよ」という感じで少しだけ腹が立ったことを覚えている。なぜかというと、ジョーの音楽とロリンズの音楽に関連性なんかなんも感じられないからだ。そのころのジョーは当時世界を席巻していた英国産ポップ・ロックの流れの中でヒットを飛ばしていた。レゲェからジャイブ(スイング)までなんでも取り入れるスタイルで、黎明期の東京のクラブシーンなんかでウケてたんだと思う(当時東京に住んでなかったのでよく知らんけど)。元々クラシックをやってたらしく、それから貪欲にいろんな音楽の要素を取り入れていったということで、よく言えば「吸収力、解釈力のある」悪く言えば「すぐかっぱらう」ミュージシャンというわけだ。で、この『ボディ・アンド・ソウル』だけど、聞いても聞いてもロリンズのかけらもない。大ヒット曲「You Can't Get What You Want」なんかは当時よく耳にしたもんだけど、ジャズと関係があるとはまったく思わなんだ。真似たのはジャケだけだ。(asin:B000J2356U←クリックでアルバム詳細へ)
 ま、いいけどね、イギリス人がなにしようと。

 ちなみにオレは京都でジョーを見たことがある。木屋町の飲み屋でバイトしてたときのこと。開店前に店の前を掃除していたら女性を連れた外人さんがウロウロしてた。あのはげアタマはどう見てもジョー・ジャクソンだ。ちょっと驚いたオレは思わず「アー・ユー・ジョー?」と声をかけた。向こうはビックリしたような怒ったような複雑な顔をして「ノー!」とかなんとかいいながら去っていった。確かに「アー・ユー・ジョー?」はないよな、失礼だ(笑)。ツアーとか来日とかっていう話もなかったと思うし、女連れだったし、お忍び旅行だったのかな。

 ま、いいけどね、イギリス人がなにしようと。

サキソフォン・コロッサス

サキソフォン・コロッサス

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