ビリー・プレストン

hatake-19612007-08-27

 お久しぶりっす。先週は朝早くの取材とか慣れないことしたもんで体がヘロヘロっした。

 で、もう1週間以上前の話だが、18日に知人が主催するイベントに呼んでもらってDJをしたんだけど、これが結構楽しかったというか、選曲がうまくいった(とオレは思った)。で、ついつい飲んじゃって結局泥酔だったんだよね。だからなにかけたかあやふやなんだけど、エディ・ボとかミーターズにつなげてビリー・プレストンの「Go where no ones gone before」とゆー曲をかけたことは覚えている。これはそれほどウケなかった気もするが、オレはとても気に入ってる曲なんだな。日本のアニメ『L/R』(フジテレビの深夜枠でやってた)の主題曲。そしてもしかしたらビリーの遺作かも。

L/R - Go where no ones gone before

L/R - Go where no ones gone before

 曲はいきなりよくハネるピアノで始まり、ホーンが鳴り響く“なんちゃってニューオリンズ”ってな感じで、ビリー自身の「ナッシング・フロム・ナッシング」によく似た曲。でもオレはこの曲を初めて聞いたとき真っ先に頭に浮かんだのはザ・バンドの「オフェリア」という曲だった。彼らの解散コンサートを描いた映画『ラスト・ワルツ』で演奏していて(サントラ盤にも収録)、レヴォン・ヘルムがドラム叩きながら歌う(あぁいうのは”弾き語り”というのだろうか。”叩き語り”?)シーンがめちゃくちゃかっこよかった。オリジナルはそのコンサートの直前のアルバム『南十字星』。んで、これまた“なんちゃってニューオリンズ”な感じの曲なんだね。ザ・バンドは名作『カフーツ』の「ライフ・イズ・ア・カーニバル」でホーン・アレンジをアラン・トゥーサンに頼んだりしてて、さすがルーツ・ハンターの面目約如ってとこだけど、この「オフェリア」あたりもその匂いがプンプンなわけ。
CAHOOTS

CAHOOTS

Northern Lights-Southern Cross

Northern Lights-Southern Cross

 まぁ、ザ・バンドは本稿にはあんまり関係ない。で、ビリー・プレストンに話を戻すと、やっぱ日本のファン、というかロックファンにとってはビートルズローリング・ストーンズと共演した人っていう印象が一番強いんだろうなぁ。オレも映画『レット・イット・ビー』でビリーが弾くホエ〜っていう音のオルガンを強烈に覚えているもん。でもオレにとってはやっぱりソウル〜ゴスペル系のシンガーであり、ファンキーなオルガン奏者なんだよね。
 テキサス生まれロサンゼルス育ちのビリーのデビュー2作目「Billy’s Bag」がヒットしたのが1960年代なかばで、まだ18歳。そのころはヴィージェイ・レーベルでブリブリファンキーなオルガンのインストものをやってた。そしてなんといってもキングピンズ! アレサ・フランクリンフィルモア・ライブでのバックバンドだったキング・カーティス率いるキングピンズのオルガン奏者として、師匠格のレイ・チャールズとも堂々と渡り合っているし、アレサなしレイなしのステージでも強烈なグルーブをぶちかましている。もっとも、このバンドは他のメンバーも凄すぎだけどさ。
Aretha Live at Fillmore West

Aretha Live at Fillmore West

ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト

ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト

 同時期にロック畑との邂逅があり、70年代は自身のヴォーカルをフューチャーしたアルバムをA&Mレーベルで快調に発表していく。前記「ナッシング・フロム・ナッシング」や、あのジョー・コッカーで有名な「You Are So Beautiful」もオリジナルはビリーで(『The Kids & Me』収録)この時期の作品。
 そして80年代にはいるとモータウンでシリータ(スティービー・ワンダーの前のカミさん)と組んでディスコ・ヒットを連発。オレも12インチを何枚か持ってたはず(最近は全然聞かないからどこにあるかわからんけど)。
キッズ・アンド・ミー

キッズ・アンド・ミー

Ultimate Collection

Ultimate Collection

 その後もゴスペル系で活躍したり各種セッションに参加していたらしいが(クラプトンのツアーとか)、あまり噂を聞かなくなったなぁと思っていたら、昨年(2006年)6月に訃報が届いた。
 「L/R」は2003年の作品だから遺作かどうかはわからないけど、最晩年の作品であることは確か。ビリー自身の経歴にあまりニューオリンズは関係ないみたいだけど、最後に日本からの依頼でこんなにハッピーな曲ができて、本人も楽しかったんじゃないかな(ちなみに作曲は日本人)。あまり、というかまったく話題にならなかった曲だけど07年8月現在まだ発売されているみたいだし、死から1年を過ぎた今、この曲でビリーを偲んでみるのもよろしいかと……。
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