実にナイスなカップル

 あまりネガティブなことをここで書いてもしょうがないとは思うのだが、あんまりだったので……。
 今日はお盆明けだが仕事がそれほど立て込んでおらず、早めに会社を出た。夕方の6時前には京浜急行品川駅に到着し、品川始発の快特を待つ列の後ろにつく。ふと見るとオレの前に並んでいる男性が、列の外にいる女性と話していた。ふたりとも20代後半くらいだろうか。男性は快特で帰り、女性は次の各駅を利用するので、そのつかの間を惜しんで会話にいそしむ恋人同士……ってなとこだろうかと思っていたのだが、快特到着と同時にその女性もどさくさにまぎれてドドドッと車内になだれ込み、ダッシュで席確保に必死。おいおい、あんた確実に列には並んでなかったじゃん! しかも見るとしっかりちゃっかり2人並んで優先席に座ってるよ。
 あーあ、と思いつつ彼らの席の真後ろに立つオレ。京急の一部の車両はベンチシートと対面シートが混在してて、くだんの2人が座ったのは対面シート。で、オレはドア脇の空きスペースに立ったわけだが、そこがちょうど彼らの後ろだったのだ。
 まぁ通勤電車に乗っていればこんなことはよくあること。いちいち目くじら立ててたら身が持たん。チっと思いながらも電車は進む。そして京急蒲田駅に着いた。問題はそこからだ。
 あぁ、神はなぜオレに向かってトラブルの種を蒔くのだろう。
 おばあさんが2人乗ってきたのだ。それも1人は足元が弱いらしく、もう1人(こちらはやや若そう)に支えてもらいながら入ってきた。そしてオレの脇を抜けて優先席のほうへと進んでいく。さて、彼らはどうするか。
 まったくどうもしなかった。おててつないでずっとしゃべってる。あきれたオレは、男のほうと目を合わせて、むこうが「うん? なんだこいつ?」という表情をしたときに、彼の頭上にある優先席のマークに視線を移すという、サルでもわかるサインを送ってやったのだが、彼は視線をそらしてしまった。
 電車は京急川崎に着く。ここでまた客が少し乗ってきたので、おばあさんたちは押されるように奥へと進まざるを得ない。もうだめだ。我慢できない。
 しかし以前、同じようなシチュエーションできつい言葉を使ってトラブルになりかけたことがあったので、ここはグっとおだやかに、2人に向かって「席、ゆずってあげたらいかがですか?」と言ってみた。まぁ、声に多少怒気をはらんでいたのは否定はしないが、ここまで言えばわかるでしょ、キミたち。
 すると女性のほうが目の玉をグリンとドでかく広げて(なにいってるの? この人)という表情。男は下を向いちゃった。2人とも黙りこくって動く気配はない。
 あらら、と思っていたら、その向かい側に座っていた中年女性が「どうぞ」といって席を譲ったので、とりあえずひとりは座れた。
 そこから横浜までのあいだ2人はずっと下を向いていた……んならかわいいもんだけど、女性はときどきキっとオレをにらみつけるんだからたまらんね。
 割り込み乗車的に座って、あげくこれだ。横浜で下車する際、まだ座っている2人の方を向いて小さく「しょうもねぇヤツらだなぁ」とつぶやいてみたのだが、聞こえたかどうかはわからない。
 こーゆー人が裁判員とかに選ばれちゃったらどーよ、とか思ったりしたお盆明けでした。

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