生麦生米生ビール

hatake-19612009-03-08

 本日朝から横浜駅に行く用事があったのだがその件は昼過ぎには終了した。天気はイマイチだったけど、先日購入したニコンFがクビからぶら下がってるとあっちゃぁお散歩しないわけには行くまい。西口からヨドバシカメラの前を通ってさらに西のほうにフラフラ歩いてみると「旧東海道」の標識を発見。ごくごくフツーの生活道路だけど、ここを参勤交代の大名や勤皇の志士や清水の次郎長弥次さん喜多さんが歩いたのかと思うと、ちと感興をそそられる。標識には推奨コースが示されていたので、今日は歴史散歩とシャレこもう。



 その旧東海道を北の方(東京の方)へ進むと結構きつい上り坂になる。大きな通りをまたいで坂を上っていくと立派なお屋敷風の民家に古色蒼然とした井戸があったりなんかして。その家の壁に生えているコケもいい感じ。その先の角には関門跡の碑がある。
 そこを左に曲がりさらに坂を上ると見晴らしのいい公園にでる。ネコを見つけたのでカメラを向けると、視界に突然どデカい銅像が飛び込んできた。フツーの住宅街に唐突にあるこの風景はかなりシュール。私学会館の敷地内にあるこの像は内山岩太郎という人物。なんでも戦後すぐの神奈川県知事だとのこと。


 日本珍百景に入れてもいいような風景を背にすると、私学会館の隣に「かえもん公園」という小さな公園がある。「やえもん」なら機関車だが「かえもん」とはなんだ? と調べてみれば横浜の発展に寄与した高島嘉右衛門の名前にちなむもの。昔の東急東横線は終点が桜木町だったが、その当時横浜を出ると最初の駅が高島町だった(市営地下鉄の駅にその名は残っている)。この高島町という町名もこの嘉右衛門さんからきているのだ。ちなみにこのおっさん、高島易断の祖でもあるらしい。
 さらに進んで急な坂を一気に下ると国道一号線の青木橋の上に出る。そこからちょいと石段を登ったところにある本覚寺という寺は、ハリスがアメリカ領事館を設置したところ。今の虎ノ門アメリカ大使館)の御先祖様というわけだ。で、青木橋を渡れば京急神奈川駅。ここまで来たら京急に乗って生麦に行こう! 歴史散歩なんだから、ついでにあの生麦事件で名高い場所にも行ってみようじゃないか。


 ところがこの生麦という駅の無愛想なことといったらないね。どの教科書にも載っているあの有名な事件の現場なんだし、駅の名前もそのままなんだから、改札を出ればきっと案内表示か地図があるだろうと期待していたのだが、なーんもない。駅の周辺は激しく場末感の漂う寂れた商店街があるのみ。いよいよ困り、駅員に聞いたら「参考館」というのを紹介されたので行ってみるとフツーの民家で、個人が収拾した資料などを展示しているらしい。やたら話好きのオヤジが出てきて講釈を垂れられるのも面倒くさいのでパス。オレが行きたいのは事件の現場だったところに建っているという石碑なんだよ。


 と、ちょうど折りよくパトカーが通りかかったので警官に聞いて見ると、国道15号線新子安のほうに行ったところにあるらしい。なんだ、結構駅から遠いんだな、と思いつつテクテク。
 15号を渡ると目の前にバカデカい工場がある。名高いキリンビールの生麦工場だ(ビール工場の地名が“生麦”ってーのもなかなかシャレが効いてていいね)。どーんと広がる工場の敷地に沿って歩くと、15号と旧東海道が合流するあたりにやっと目的の石碑があった。思ったより小さいしあまり管理も行き届いていない感じだが、とりあえずこの場所で薩摩藩士が英国人を斬ったのだなぁ、と思いを馳せてみる。

 馳せ終わって隣を見たらキリンの工場入り口だ。「工場見学受付」と書いてある。ビール工場の見学といえば最後に試飲と相場は決まっている。こりゃ行くしかないだろ。早速飛び込みで申し込んだら、たまたま次の見学コースに余裕があるというのでもぐりこめた。
 見学の内容は各自キリンのHPでも見て調べてください。そんなことより試飲だ、試飲。最近リニューアルした一番搾りの出来立てのホヤホヤを2杯。いやー、驚くほど美味かったね! 冷たくてすっきりしててもちろん苦味があるんだけどほのかに甘みも感じられて、缶ビールじゃ絶対味わえない絶品の美味さ! 空腹だったけど一気です。うーん、いいわここ。またこようっと。工場を案内してくれたコンパニオン(?)の徳村さんもステキな人だったし(笑)。



 ほろ酔いで帰路につく。生麦まで同じ道を戻るのはシャクなので新子安まで歩いた。この途中でまた不思議な風景発見。京急の踏み切りなんだけど、渡った先がお寺の入り口なの。寺のためだけにある踏み切り。なんか変な感じだった。
 犬も歩けばなんとやら、思いつきで適当に歩く行き当たりばったりの散歩だったけど、とてもとても楽しい日曜日の午後でありました。

機材:Nikon F / NIKKOR 35mm f2 / 400 Super
人気ブログランキングへ